伝統建築の耐震改修とは
地震大国日本において、建物の耐震性への配慮は不可欠です。
先人たちが守ってこられた立派な建物ではあるものの、耐震性に不安を抱えておられる方も多く、「新築にするか悩んでいる」、「建替えるには勿体ないが耐震性が不安」等、予算も含め悩まれている、というご相談を受ける機会が増えています。
伝統建築の耐震改修は、一般住宅の耐震改修とは全く異なる設計手法が求められます。当社では伝統構法の構造計算について経験豊富な構造設計事務所とチームを組み、確かな技術力で耐震改修工事を施工しています。
社寺建築や古民家等の伝統構法は、貫や土壁等により、柔らかく粘り強い性質の柔構造です。柔構造の建物に、剛構造の建物にするような安易に筋違いを追加するというような補強をしてしまっては、かえって建物のバランスを崩してしまいます。
伝統構法の耐震設計には、柔構造である超高層ビルの設計に使われている限界耐力計算という構造計算を用います。
内田工務店では、耐震診断から耐震補強設計、耐震補強工事まで、経験豊かなスタッフが責任をもって対応しています。
耐震に関するご相談は、神奈川の宮大工集団 内田工務店にお任せください。
耐震改修の流れ
-
調査・実測
耐震のご相談をいただきましたら、まずは調査及び実測を行います。
内部では、柱の傾斜を測定し、床の不陸を測定いたします。
次に床下の柱や土台の状況、シロアリ被害の有無、小屋裏に潜っての継手・仕口の損傷の有無について調査・実測を行います。
柱の傾斜や床の不陸が確認された場合には、実測図を添付し、報告書を作成してご説明いたします。 -
耐震補強設計
調査・実測に基づき、耐震補強設計を行います。
まず、耐震補強に必要な図面を作成します。
構造設計事務所が限界耐力計算耐力壁には、土壁を追加する方法や、面格子壁の追加、斜め板張り壁の追加、構造用合板補強等、様々な方法があります。
内田工務店では、建物の外観を崩さない点にも留意し、各々の建物に合わせた耐力壁を計画・ご提案しています。伝統構法の耐震補強設計は、一級建築士事務所 内田工務店にお任せください。
-
不陸修正・柱の傾斜修正
床に不陸がある場合には、ジャッキアップをして柱や土台下に飼木をして不陸を修正します。
柱脚が腐っている場合には根継をします。
不陸が顕著な場合には、建物全体をジャッキアップして、鉄筋コンクリートの基礎に作り替える工事も行います。床の不陸修正と並行して、柱の傾斜を修正します。傾斜の程度によりますが、ある程度壁を落としてから、ワイヤーで建物を起こします。
文化財修理工事で培った確かな技術で施工しています。
-
屋根の軽量化
耐震改修の方法として、建物の上部加重を軽くするのも大変に有効です。
瓦を降ろし、軽量な金属葺に葺替える工事は建物を軽くし、耐震性の向上になります。
写真の本堂は、瓦葺より、金属葺の中では最も軽量で耐久性に優れたチタン合金の屋根に葺替えを行った実例です。
建物全体で約20tの軽量化を実現しました。 -
耐力壁の設置
設計図に基づき、耐震補強工事を施工します。文化財修理では、特に可逆性を重視して、既存の部材への損傷を最小限に留めます。
耐力壁には、土壁を追加する方法や、面格子壁の追加、斜め板張り壁の追加、構造用合板補強等、様々な方法があります。
小屋裏には水平ブレースを追加し、水平面の面剛性を高めます。
梁と桁の接合部や、梁・桁の継手に脆弱な箇所がある場合には、金物等で補強をします。耐震補強工事のみを行うことも可能ですし、耐震補強工事と合わせて、建物全体の改修工事を行うことも可能です。
お客様のご予算に合わせたプランをご提案させていただきます。